東京高等裁判所 昭和38年(行ナ)40号 判決
〔判決理由〕
二 (審決を取り消すべき事由の有無について
原告は、本件審決は、本願商標と引用商標とが観念上類似の商標であるとした点において判断を誤つた違法がある旨主張するが、両者は、のちに説示するとおり観念において互いに類似するものと認めるを相当とするから、原告の右主張は、理由がないものといわざるをえない。すなわち、わが国における英語の知識の普及の程度をもつてすれば、本願商標(編注、欧文文字ペン書筆記体で「Winner」を横書したもの)は、一般に、「勝利者」の観念を生じ、引用商標(編注、筆記体で「Pennant Winner」の欧文字及び小さく片仮名で「ペナントウインナー」の文字を二段に横書したもの)は、「優勝旗獲得者」の観念を生ずるものと認めるを相当とする。原告は、この点につき「Pennant Winner」という英語は、これに「the」の語を冠した場合にのみ「優勝旗獲得者」の観念を生ずるものである旨抗争するが、正確な英文法の論議は別として、わが国の取引者、需要者間における一般的な商標のもたらす観念の問題としては、このような定冠詞の有無によつて、その意義、観念を異にすることはないと解するのを社会通念上、むしろ妥当とする。しかして、「優勝旗獲得者」は取りも直さず「優勝者」「勝利者」を意味することも、また、社会通念上、きわめて普通のことであるから本願商標及び引用商標は、ともに「優勝者」の観念を生ずるものというに妨げなく、したがつて、両者は観念の点において、互いに類似する商標であるということができる。引用商標から、「優勝旗を得る人」「ペナントを受けるに値する人」又は「ペナントを受けるべき人」の観念を生ずることは原告も自認するところであり、これらの日本語が、実質的に「優勝者」ないしは「勝利者」を意味することは、吾人の通念から明白なところであり、これらの語の意味するところが本願商標の観念である「勝利者」と別異なものであるとすることは全く妥当ではない。
しかして、本願商標及び引用商標が、ともに旧第六十五類運動具等を指定商品とするものであることは、前記のとおり当事者間に争いのないところであるから、本願商標は、その余の点について審究するまでもなく、本件審決認定のとおり旧商標法第二条第一項第九号に該当するものといわざるをえない。
(むすび)
三 以上のとおりであるから、その主張のような違法があることを理由に、本件審決の取消を求める原告の本訴請求は、理由がないものというほかはない。
よつて、これを棄却する。
(三宅正雄 影山勇 荒木秀一)